skoharaの日記

日々のいろいろ

フィニイ128のひみつ

フィニイ128のひみつ (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
「フィニイ128のひみつ」という言葉の謎を追って、ライブRPGに入り込む話し。ライブRPGは世界的で恒常的(常にどこでもやっているという感じ)なのはすごいけど、世界設定はまさにB級SF。非常にチープ。話自体も、単にゲームの流れに流されて進んでいくだけという感じ。普通に読むとものすごく出来が悪い小説としかとれません。

しかし、よく読むといろいろなところに謎かけというか、奇妙な記述が目立ちます。パラグラフが16進数で128に分かれているところ、本筋とは関係ない現実世界のクーデター話がTVで報道されているシーンが何度も出てくる、最後の方の「るみ」の正体がわかったようなわからないような記述、テイラーはいったい南米に何しに行ったのか、ちょうど真ん中の章で「そのとき、私の世界が反転した」というのはどういう意味? 

なにか普通とは違う読み方をすれば全てがしっかりつながるような感じがありながら、結局よくわからない・・。その、わからなさ、が狙いなのかもしれませんが・・。少なくとも普通の小説を読みたい人は絶対に読んではいけない小説でしょう。

以下の著者インタビューを読んでもやはりよくわからない。
http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/040501.shtml

ネタバレでもいい人は以下を読んでみると面白いかも。まあ、ネタバレも何もストーリー自体、無いようなものですが・・。
http://homepage3.nifty.com/kazano/200308c.html

なかなか言葉では伝えにくく、また実際に読んでしまった人にもこの感覚は伝えにくいのですが、例えば、実は主人公は最初に死んでいた、とか、実は後ろから読まなければいけない、とかそういう謎があるんじゃないかと勘ぐりたくなる本です。だいたい主人公が男か女かもよくわからないし・・。