skoharaの日記

日々のいろいろ

万物理論

ISBN:4488711022
まあ、なんだかんだいっても、あっという間に読んでしまったことは確かなわけで・・。
内容的にどんなものなのか一応メモ。ネタバレしない程度に。

主人公はジャーナリストで、その取材・編集という形でまずはバイオテクノロジーによる未来の姿が描かれます。このあたりは短編をまとめた感じもします。その不気味な発展が読みどころ。アイデア満載で、特にDNAを別の物質に入れ替えて病気にならなくする、というのは他では読んだことがない。「しあわせの理由」的な人間の本質を突く話も出ますし、ジェンダー論もさすがです。男性・女性に対し「汎性」という中立の性が登場します。男性の場合、「男は・・」という風に書くので「汎性」の場合には「汎は・・」という形で書いてあります。これはちょっと読みにくいかも。そのほか、宇宙消失的なナノテクも健在です。

その後、万物理論の話しに。理論を考える研究者達が発表する場に選んだ島「ステートレス」の不思議な実態がまず描かれます。これはちょっとホーガンぽかった。ある意味理想郷的なところは「断絶の航海」に通じるところがあるかも。それから無知カルトの暗躍・そしてその批判もホーガンを思わせます。

その後、ようやく万物理論の影響力が・・。まあ、このあたりからはネタバレに近くなってくるのであまり書けませんが、理論自体がどうというより、その影響力の話しになっているので、多少は読みやすいです。多少ですが・・。そして、その理論が現実に影響力を持つのか、それとも単なる妄想か。このあたりは「順列都市」に通じるものがありますね。

最終的にはその結果がでるわけですが、意外なところが意外なところに繋がって・・最後は予想できませんでした。うーむ、こう書いているとなんか面白かったような気がしてきたな・・。イーガンということでどうしても期待が大きくなるので評価は辛くなりがちですが・・。やっぱり、ちゃんと再読しておこう。