skoharaの日記

日々のいろいろ

膚(はだえ)の下

膚(はだえ)の下

膚(はだえ)の下

神林長平火星三部作、完結編。
火星三部作とは「あなたの魂に安らぎあれ」ISBN:4150302154 が第一作、「帝王の空」 ISBN:4150305242 が第二作なのですが、時代的には一作目が一番未来で次第に過去にさかのぼっていきます。よって膚の下は一番最初のそもそもの発端なわけですが、しかし、読む順番は刊行順に読んだ方がいいと思います。特に「あなたの魂に安らぎあれ」との結びつきは強いので、先に読んでおいた方がいいでしょう。

しかし、重厚で考えさせる、それも人間とは?を考えさせるSFです。分厚い本ですが、火星三部作を読んできて良かった、と思わせます。私は神林作品の中では特に火星三部作が好きで日本SFの中で最も好きと言っていいぐらいですが、「膚の下」は全二作に劣らない素晴らしいものになっていると思います。神林といえばハードSF、それも機械系の描写が多い作家として知られていますが、今回も多少そういう点はあるにしろ、それよりも心を描いたシーンが今回はとても多いです。

なるほど、イーガンはすごい。しかし、日本には神林がいる、そういいたくなる作品です。