くらやみの速さはどれくらい
- 作者: エリザベスムーン,Elizabeth Moon,小尾芙佐
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/10
- メディア: 単行本
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( ISBN:4151101012 ) とよく書かれるこの本は一応SFであり2003年のネビュラ賞も取っている。ほとんどが自閉症の主人公の視点で書かれていて、自閉症とはどういうものかを知るにはとてもいいのではないかと思う。しかし、「自閉症」というのは誤解を招きやすいので名称を変えた方がいいと思う。これは引きこもりとかそういうものではなく先天的な脳の障害です(キーワード「自閉症」参照)。
で、この本がすごいのはラストだと思う。最後まで読まないとこのほんの価値はわからない。以下はそれについてなので、どうしても何も知らずに読みたい人は読まないように(それほどはっきりしたネタバレは書いてませんが一応)。
一見、ハッピーエンド。しかし、それはハッピーエンドではないのだと思う。これは未来の治療の本質的問題点について指摘している話しなのだと思う。つまり作者は「これでハッピーエンド・・ですか?」と問いかけているわけである。なるほど、ハッピーエンドとはちょっと言えない。
かなり近未来的な問題、それも倫理的問題についてSFという手法は非常に有効であることを示している。そういう意味ではアルジャーノンとは全く違う本。あ、アルジャーノンみたいに泣かせる本ではないです・・がじわじわきます。